世の中はいつでも思わぬことが起こるものである。
もちろん、注意深ければその兆候を事前に知ることができることもあるが、だいたいはそんなことを四六時中考えているわけではなく、自分の意志に沿って起きたことではないので、思わぬこととなってしまうのである。それが何であるかは私事なので控えておくが、そんなわけで漢字制作も予定通りには進まなかった。宣言することで自分をふるいたたせていたのだが、なんとも残念で一部のかたには申し訳ないことです。ということで小学校卒業は、まだ少し先になりそうである。
それに関連するが、部屋を整理することになり、本棚を空けるために昔のものを引っ張りだした。それこそ思わぬものが出てきてびっくりした。我が家にはお宝として世間に通用するような物は無いので、あくまで私自身にとってのお宝だ。高校生から大学時代までの日記はあまりの恥ずかしさに処分した。その中に、私自身も全く記憶になく失念していたのだが、写研の第7回石井賞タイプ・フェイスコンテストに応募した控えが出てきた。当時は応募者全員にこの作品で応募しましたというもの(それを参加賞というなんてなんともうれしい)を送っていたのだ。今の私には考えられない書体だがそれなりに完成度も認められた。その他その当時の習作スケッチもいろいろ出てきた。なかなかのものであると我ながら関心した。80年代に応募したモリサワのタイプフェイスコンテストの没にした原字シートも出てきた。大学時代は毎日のように学生運動のビラをもらった。それもコレクションとして取ってあったはずだがどこかの時点で捨ててしまったのだと思う。手書きだが力強い文字が並んでいた。内容よりもその文字と特に見出しのインパクトに印象が残っている。集めた論文集や切り抜き記事等も懐かしい。誰がこんなものを見て喜ぶだろうか。今では誰もいないだろう。
さらに自分の関わった多くの作品なども捨てることになった。これは相当スペースをとっていたので効果はあった。よくもこんなにいろんなことをやったものだと、これも我ながら感心した。まだ資料やスケッチ・図面など紙のものは捨てていないが、これもいずれ整理しなければならない。なにしろ短くても3カ月、長いものだと数年にわたって関わったものが並行して複数あるので、相当のボリュームだ。来週にでも結論が出ると思って待っていてもそれが何カ月も決まらないこともある。だから机の上がきれいになることがなく、いまでもそのくせが抜けない。
写真は写研の第7回石井賞タイプ・フェイスコンテストに応募した控え。